2002年3月25日にブルックが東京に出張した際、我々アジャン・ドール倶楽部の社員全員を対象に、フレイザーとブルックが営む事業グループ全体について、説明をしてくれた事がありました。その時ブルックはホワイト・ボードに、幾つかの組織図(構造図)を手描きして説明しましたが、先ずここに示すのは彼等の事業グループの全体図です。
中央上部に見えるGLOBAL ALLIANCE(グローバル・アライアンス)とは、実質的にはフレイザー・ブルック・パートナーシップの事ですが、フレイザーやブルックの名前がマーチャントによって汚されていたため、それを避けて別称を名乗っていたものです。左端にはIC(インペリアル・コンソリデイティッド)以外にも、独立した幾つかのファンド群があった事が示されています。そのうちAlpha Torontoはカナダで既に発行済みになっており、Gunny Legalは英国金融サービス庁認可のファンドで2002年4月5日に発行予定、SAMも英国金融サービス庁認可のファンドで2002年4月16日に発行予定となっています。Other “Offshore Funds”とあるのは、インペリアル以外のブランドのファンドを発行する予定があったのかも知れませんが、これに関して詳しい説明は受けていません。
下部の黒字で記された部分は、インペリアル・グループとは直接関係のない幾つかの事業会社群を表しています。Kalber Leisure(その下に子会社のBrooklyn
Leisure)、Matrix International、UNIBAY、G3、FBP Designなどの名前が見られます。Kalber LeisureはBrooklyn
Leisureを通してホテル、クラブ、バーなど19物件を運営する会社でした。またMatrix Internationalは空港や税関の警備保障、及び警備訓練の提供や各種調査を行う会社、UNIBAYは180エーカー(約22万坪)の敷地を持つ倉庫会社で、その一部をイギリス最大の軍需産業BAe(ブリティッシュ・アエロ・スペース)に貸していました。G3は移動式病院、給水設備、野外設営施設、地雷除去車両などの特殊機材のリース会社で、顧客は英国政府、米国政府、国連軍が見込まれていました。最後のFBP Designは出版物のデザインと印刷をする普通の会社でした。
さらに右端の一部赤字になっているところには、アルゼンチン、シエラ・レオネ、南アフリカなどに持っていた鉱山関係の事業が見られます。アルゼンチンでは450万エーカー(青森県約二つ分の面積)の土地にある、金と銅が採れる47カ所の鉱区採掘権のうち70パーセントを所有していた事、シエラ・レオネでは黒御影石及びダイヤモンドの採掘権の100パーセントを所有していた事、また南アフリカでは埋蔵量約2千万オンス(当時の市場価格で約7億5千万ドル)のプラチナ鉱区の75パーセントを所有していた事が説明されています。
このうちインペリアル・グループと言うのは、実は彼等が経営する事業群のうち金融を担当する部門だったのですが、ここに示す写真ではほぼ中央の少し上よりにある、赤い破線で囲った部分がインペリアル・グループです。その部分だけ拡大すると以下のようになります。
この部分は特に重要ですから、翻訳して、さらに読み易いようにタイプし直せば、次のようになります。
即ち、ファンド会社各社が自主管理下に置かれる僅か3ヶ月前、ファンド会社は連結ベースで3000万ドルの資産超過になっていたのです。またもう一点、ご注意頂きたい事があります。ブルックが我々にこの説明をしたのは、2002年3月25日の事でした。この時点では、一ヶ月後にグレナダのインペリアム銀行が、PWCの管理下に置かれる事になるなどとは、誰も全く予想していませんでした。まして、銀行のみならずファンド会社までを自主管理下に置く事になるなど、全く誰のシナリオにも入っていなかった事です。従ってこの時点でブルックが、将来のいつの日か、皆様からインペリアルに対する投資債権の譲渡を受け、PI社の黒御影石事業に対する債権と交換する事になると予め思案し、シエラ・レオネの黒御影石事業の事を特に持ち出してきたと言う可能性はありません。
さて次に示すのはこの時ブルックが描いた別の図です。この説明が行なわれた時期にもう一度注目して頂きたいのですが、我々がこの説明を受けたのは、PI社のスキームが皆様に提案されるよりもかなり前の事でした。その時我々は鉱山事業部門が思ったよりも進んでいる事を知ったのですが、要するにファンド会社を自主管理下に置く前から、また、そもそもの発端となったインペリアム銀行が管理下に置かれるよりも前から、フレイザーやブルックは既に黒御影石の採石場とその持株会社であるPI社を、インペリアルのファンド事業とは全く関係のない、フレイザーとブルックが別枠で運営して事業として持っていたのです。
これは手書きで非常に読みにくいため、再び翻訳した上できれいに再生すると、次のようになります。これは所有権関係のエッセンスだけを述べたもので、余り厳密ではありませんが、採石場を実際に所有しているのはオリンパス・マイニングと言う会社で、その親会社の50%をPI社が、また残りの50%をフレイザー・ブルック・パートナーシップ(FBP)が持っていた事はハッキリと分かります。
南アフリカ共和国にあるプラチナ鉱山に関する私の理解は正確ではないかも知れませんが、確か記憶によれば、他社(ボイントン社)の持分が大部分を占めているため、確認埋蔵量2000万オンスのうち75%分に関してだけ執行できるオプションを、スプリングボック社が持っているとの事だったと思います。