実は私はその少し前にSFOから非公式な接触を受け、インペリアルの問題に関して面会を求められていたのです。しかしマザールを排除するための第一段階となる筈の、このミーティングを実現する方が我々に取っては重要であったため、SFOからの面会要請は後回しにしていたのです。しかし余りに遅くなってもさすがに申し訳ないと思い、このミーティングに出掛ける前日(逮捕される二日前)、私はSFOの当時の担当者Ian Wilson氏宛にメールを出し、面会が今まで延び延びになっていた事を詫びた上で、『今は重要なミーティングの準備に忙殺されているが、来週になればいつでも会う事ができる』旨をわざわざ連絡しているのです。また言うまでもなく私の住所は公表されており、イギリスにいる間はずっとそこに住んでいるのです。この状況をどうひねくれば「逃亡の恐れ」があったと解釈できるのか、不思議な事です。
また前に述べたように我々がいつ、どこで会合を持つか、警察は前もって完全に把握していました。さらに私の住所も、電話番号(固定電話、及び携帯電話)も、メール・アドレスも必要な事は全て、私からSFOには教えてありました。(尤も私が教えなくても、彼らにはそれ位の事は造作もなく調べられます。)従って彼らが私を「探している」振りをする必要は全くありませんでした。ですから、もし私から話を聞くつもりがあるのであれば、ただ私を自宅に訪ね、参考人として事情聴取をするだけで良かったのです。であれば何故、わざわざ我々が会合場所まで出向くのを待って、如何にもそこで逃亡中の(あるいは逃亡の恐れがあった)犯人を発見して捕まえたかのような、馬鹿げた真似をして見せなければならなかったのでしょうか。そこまでして余分の時間と費用を掛けてまで、猿芝居のような演出をしなければならなかった理由は何でしょう。恐らく、わざと債権回収組合の理事の面々の前で私を「逮捕」して見せる事により、債権回収組合は私に騙されていたのだと言うメッセージを与え、マザールを清算人の立場から排斥しようとする我々の運動を、何とか挫こうとする意図があったのでしょう。
もちろん警察が積極的にそのような事をする筈がありません。しかしマザールがSFOに影響力を持っていると、不遜にも公言している事実から考えると、マザールのライアンかウッドがSFOを旨く誘導して警察を動かし、警察にこの茶番劇を演じさせた可能性が高いように思われます。はっきり言えば、SFOはマザールにまんまと引っ掛けられ、何も知らないリンカーン州警察は旨く利用されたのです。