22-10 3月5日の債権者会議と、3月3日の出頭命令
同年3月5日にはグレナダにおいて債権者集会を、マザールが主催する事になっていました。我々マザールを罷免しようと欲する債権者グループ(債権者運営委員会)は、既に700名以上の投資家からマザールの罷免を要求する署名を集めていたので、誰か一人が代表としてグレナダに赴き、債権者会議の中でマザールの罷免動議を提出する予定になっていました。そのため、我々のグループを代表して米国西海岸に住むある投資家がグレナダ行く事になっていましたが、当人が仕事上の都合で急に行けなくなったため、我々は急いで別の代理人を立てる必要に迫られました。会議で発言するためには英語ができなければならないため、フレイザーやブルックは欧米人の投資家達に連絡を取り、私はグレナダ在住の弁護士数人、及び元グレナダ国際金融長長官マイケル・クレフト氏に電話で当たりました。しかし、あいにく全員日にちの都合を合わせる事ができなかったため、最後の手段として私自身がグレナダに行く事を考えました。私がグレナダの会議に出席するにはその前日に現地入りをしている必要がありましたが、そのためにはその二日前、即ち3月3日には英国を発っていなければなりませんでした。しかしどう言う偶然の一致か、私はリンカーン州警察から3月3日に事情聴取のため出頭するよう命令を受けていたのです。奇しくも3月3日と言うこの日に出頭するよう指定されたのは、私がグレナダでマザール罷免動議を提出する事を防ぐための、マザールによる密かな工作があったのではないかと今でも思っています。まさか警察にそのような認識があった訳ではないでしょうし、またマザールの意図を知っていたかどうかも不明ですが、マザールの希望を聞き入れたと言う程度の事は、恐らくあったのではないかと想像されます。