さてその2ヵ月後、2003年8月にマトリックス社のヒュー・アレンが債権者説明会に出席するため来日した際、シエラ・レオネにおける黒御影石の採石場のオペレーションに関し、パワーポイントによる説明資料を作って持ってきました。ここに添付するのは、御影石会社の所有権を説明したスライドです。口頭によるプレゼンテーションの補助資料であるため、スライド自体は随分簡略に書かれていますが、ブラック・グライナイト社(オリンパス・マイニング社の100%親会社)を通じ、フレイザー・ブルック・パートナーシップとPI社がちょうど半分づつ、採石場を実効支配している事はお分かり頂けると思います。即ちこれも上記の二つの説明と一致しています。
念のためこのスライドだけを翻訳しておきます。
蛇足かも知れませんがここに言うフレイザー・ブルックとは、フレイザー・ブルック・パートナーシップの事です。
なおアレンが用意したスライドには、彼の会社が現地で実際にやっていた事として、以下が説明されています。
·
採石上運営の経験があるスタッフを雇用した
·
警備チームを雇用し、イギリスの水準に達するまで訓練した
·
鉱業大臣との事務連絡を維持した
·
輸出を行うため、全ての港湾局との事務連絡を維持した
·
警備チーム、及び警察との恒常的連携によって、採石場への不法侵入を防止した
·
採石及び研磨機械の購入は交渉中である
·
イギリス、ポーランド、ポルトガル、イタリア、エジプト、中国及び南アフリカにおいて潜在顧客を発見した
また現状としては以下が説明されています。
·
操業を開始するに必要なスタッフと設備は整った
·
目下は採石場の手入れと維持だけを行っている
·
御影石の長期購入契約に、幾つかの相手が興味を示している
·
操業を開始するためには資金手当てが必要である
アレンの会社は採石場の管理と警備を請負っていたのですが、その彼は実際に現地で人を雇い、訓練し、採石場の現場を物理的に保全するところまではやっているのです。後は実際に資金を投入して掘り始めるだけになっていたのです。アレンの全てのスライドはこちらからご覧になれます。(次のスライドに進むためには、マウスのホイールを回して下さい。)
ご記憶の方もいらっしゃると思いますが、アレンはイギリス陸軍特殊部隊(SAS)出身の勲爵士です。またアレンの会社(マトリックス社)にはSASの出身者が何人もいました。マトリックス社の一般営業領域は危機管理、調査及び評価、訓練及び能力開発などでしたが、同時にSAS時代の特殊技能を応用した監視及び逆監視、コンピューター及びネットワークの安全確保、電磁波傍受・電磁適合性・電磁環境耐性などによる傍聴、侵入者探知システムの構築、秘密あるいは閉回路監視テレビの設置、携帯電話の電波妨害、車両の監視及び追跡、電話・ファックス・電子メールの傍受、赤外線・熱画像による監視・解析、安全な通信システムの確保など、極めて専門性の高い技術を誇っていました。マトリックスのアレン達が、政府関係の仕事をしていた事はフレイザーも証言しています。残念な事にマトリックス社の調査活動は、ピンセンツ法律事務所からの妨害に遭い事業を閉鎖してしまいましたが、これは嘗て同社が公開していたウェブサイトを翻訳したものです。今はもうマトリックス社自体もマザールによって消滅させられていますが、オリジナルのウェブサイトはhttp://web.archive.org/web/20021128225457/http://matrix-international.netから今でもご覧になる事ができます。但しこれはアーカイブから読み出しているため、部分的に正確な表示ができない箇所もありますが、文章は全て問題なく読む事ができ、リンクもとぎれてはいません。