22-8 緊急逮捕の不自然さ
ここに言う不自然な感じとは、私が逮捕されたと言う事自体にあるのではなく、私を逮捕するに至ったその流れにあるのです。つまり奇妙なのは、先に述べた如く、警察には正式な逮捕手続を踏む十分な時間があったにも拘らず、この逮捕は令状なしでしかも被疑者の人定もできていないまま執行され、更に翌日にはドタバタと謝罪をしていると言う点なのです。言うまでもなく令状なしの緊急逮捕は可能です。しかしそれには、容疑者が逃亡する可能性が差し迫っている、あるいは証拠を隠滅する可能性が差し迫っている等、一定の緊急要件を満たしている必要がある事は、英国においても日本と同様なのです。更に現行犯でない被疑者を令状なしで逮捕するには、事前に人定ができていなければならない事も、また日本おけるのと同様なのです。私を逮捕した警官は令状なしで逮捕した理由として、私が逃亡し、更に証拠を隠滅する可能性があったとからであると説明しましたが、これがほとんどお笑い種である事は先に述べたとおりです。もし私がポリス・オンブズマン(警察行政監察委員会)等に苦情申請をすれば、警察は抗弁のしようもない苦境に立たされる事になるのは明らかなのに、何故このような無理な逮捕を強行しようとしたのでしょうか。このように順を追って考えてみると、警察が内偵、聞き込みなど通常の事前調査を行った上で、私の逮捕に踏み切ったとは到底考えられず、何か背後で別の力が働いていたと考えないと説明が付きません。