何も理解していないメディアの一方的なスキャンダル報道の所為で、我々は一時、各方面から有無を言わせぬ袋叩きの状態となり、一旦退却して戦略を大きく練り直さなければならない状態に陥りました。しかし一つだけ収穫があったとすれば、その説明会を契機として債権保全回収組合が結成された事です。私と北畠氏は債権保全回収組合に事務局として協力し、その後もマザールの行状や資産の行方について調査を続けた結果、今ではマザールの不当・不正行為がかなり明らかになってきています。以下に述べるのはその一端です。
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マザールは日本人投資家、及び日本の監査法人からの投資残高確認依頼を、完全に無視した上、いつまで経っても何の連絡も寄越さなかった。責任感の欠如と言うべきである。
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マザールのライアンはランチにワインを2本も空けながら、誰が投資であるかを把握していない、銀行口座の出入りはチェックしていないと正直に認めた。ところが未だ何も分かっていない筈のその初期段階において、インペリアルは詐欺であったと既に結果だけ出している。非論理的もしくは著しい無能と言うべきである。
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マザールのウッドは私が情報を提供すると言っていたにも拘らず、全く関心を見せようとしなかった。資金回収に真剣に取り組んでいる筈の清算人としては、極めて異常な態度であったとしか言いようがない。インペリアル内部からの情報にかくも無関心でいられたのは、既にシナリオが決まっていた事の証左である。
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マザールのある清算人(敢えて名前は明かさない)は、グレナダなどのオフショアに投資する投資家は、何の同情にも価しないと放言している。(この録音記録がある事を当人は知らない。)ところがマザールは嘗て自分の顧客に対し、インペリアルのファンドへの投資を薦めているのである。言行の不一致はともかく、被害者に対する一片の同情もないとは無礼を通り越し、清算人としての倫理観の完全な欠如であり、人間性を疑わせるものがある。
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マザールのある清算人(敢えて名前は明かさない)は、グループや商品に掛かっていた各種の保険を、その意味と価値を認識しないまま解約をした事を自ら認めている。(この録音記録がある事を当人は知らない。)投資家にはこの事実を隠し、最初から保険は掛かっていなかったと説明しているが、このように平気で嘘を言うふてぶてしさに加え、投資商品の保険の重要性が分かっていなかったとは、清算人としての専門知識の完全な欠如が見られる。
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全ての融資債権にはディベンチャー(日本で言う抵当に相当)が付されており、どのファンドの資金がどの融資に向かったか分別管理されていたにも拘らず、マザールはディベンチャーを全て外し資金の区別が付かないようにし、インペリアルの資金管理は丼勘定のであったと虚偽の報告をしている。証拠を改竄しても、他にコピーが存在しないためどこからも反論を受けないのである。
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マザールはかなり早い段階で「投資家には1パーセント程度しか返ってこない」と発言しているが、全ての債務残高がまだ確定しておらず(全ての投資家が分かっていない以上)、まして清算過程の完了には遥かに程遠い段階で、何故そのような具体的な事が言えたのか。初めからそのような予定が立てられていた事の証左である。
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マザールは当初約2億ドルが鉱山投資に消えたと投資家に信じ込ませたが、最近では鉱山投資に当てられたのは1千万ドル少々であったと訂正している。約20分の1への訂正であるが、この差額については何の説明もされていない。放棄した鉱山投資に実は巨額の価値があった事が報じられたため、鉱山関係に当てられた投資は実は少額であり、従って未回収分(放棄分)の影響は殆どないと投資家に思わせるため、意図的に問題を矮小化した姑息で矛盾したな辻褄合わせである。
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マザールは米国と英国の法廷において、同一の質問に対し異なる回答(偽証)をしている。即ち米国の法廷においては、投資家に関する資料は手元にないと証言しているが、英国の法廷においては、資料はあるが未だ見ていないと一旦証言し、その後その資料が入ったコンピューターを売却処分してしまったと、一貫しない発言をしている。同一の法廷に対してではないから、誰にも矛盾を突かれない、あるいは偽証にはならないと思ったのである。
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マザールはフレイザー及びブルックに対するある通知を、彼等が実際に居住している個人宅の住所を十分に知り、また旧本社ビルは既に全くの無人になっている事を十分に知りながら、意図的に無人の旧本社ビル宛に発送する事により通知の受領を遅らせ、彼等に対抗措置を取る時間を与えないようにすると言う、非合法すれすれのあざとい手段を使っている。一体まっとうな清算人がこのような事をする必要がどこにあるのだろうか。
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マザールは英国の法廷において、インペリアル・グループのある一子会社の売却に関し、内容を改竄した文書を提出し(私文書偽造)、結果においてマザールは敗訴している。裁判費用及び損害賠償金は、回収された資金(本来投資家に帰属すべき資金)の中から支払われた。マザールによる文書偽造が完全な違法行為である事は論を俟たないが、敗訴するような清算を行う清算人が存在するなど、日本の司法常識からは到底考えられない事である。
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マザールはごく特定少数の投資家と秘密会合を持ち(日時、場所、出席者等詳細は全て判明しているが、ここでは敢えて秘する)、その秘密会合における決定事項を外部には秘匿する事を決定している。一般の債権者を排除した秘密会合を、一部の特定の債権者とだけ持つなど、明らかに違法でありまっとうな清算人のする事ではない。まして、その会議における決定事項を外部には秘匿するなど、清算人としては完全に犯罪行為に等しい。ごく一部の特定債権者と条件取引があったと看做すべきである。
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マザールは、英国のSFO(重大不正監視局)に対して影響力を行使する事ができると放言している。確かにSFOとマザールの間には人事的交流があるが、一監査法人が司法当局に影響を与える事ができると公言するメンタリティーは、SFOに対して僭越で思い上がっていると言うばかりでなく、司法の独立した権威に対する挑戦も同然の反社会的態度である。しかしそれよりも重大な懸念は、SFOとマザールの間に癒着は本当にないかと言う点である。
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英国のある有力な法律事務所のパートナーは、「我々はマザールがインペリアルを収奪したと認識している」と、また世界有数の監査法人の上級パートナーは、「我々はそのような状況を承知している」と発言している。マザールがインペリアルの置かれた事情を悪用し、濡れ手に粟の大儲けをしたと言うのは、英国の金融界では共通した認識になっている。