ところで彼等が安値で処分した固定資産、特にイギリスの本部の土地建物は、どう言う状態だったのでしょうか。マザールがそれを幾らで売ったのか、私も具体的な数字は知りません。しかし私は土地面積だけでほぼ10万坪あった事、またその土地には古くはありますが、手入れされた12棟のビルが建っていた事、そしてそこでは数百人の社員が働いていた事を知っています。インペリアルの敷地内には独立した警衛所があり、フレイザーやブルックのオフィスがあった本部ビルの他に、幾つもの業務ビルやコール・センター、会議室棟や来客のための宿泊設備、社員が使う無料の食堂、倉庫や車両整備工場、それにその当時はまだ稼動はしていませんでしたが、小さい子供を持った社員のための託児施設まで計画していました。ご承知のようにインペリアル・グループは、イギリス中部の小さな田舎町に本部を置いていました。であるからこそ、遠来の顧客のための宿泊設備、社員のための食堂、託児所、車両整備工場までも、相当な費用をかけて自前でまかなっていたのです。ここにいくつか写真をお見せしますので、12棟の建物の載った10万坪の不動産を、マザールが幾らで処分したのか想像してみて下さい。
これは正門ゲートを入ってすぐの所で、右側に見えるのが警備室、遠くに見えるのが管理本部です。
警備室を近くから見た所で、手前のランド・ローバーのドアにはインペリアルのロゴが見えます。
これが管理本部棟です。無骨に見えますが元々は空軍の司令部が入っていた建物です。
これは管理本部棟の受付で、随所に見られるのは各種の事業ライセンスです。
管理本部棟右翼の、各業務室に繋がる廊下です。
二回に上がると法務部、役員室などがあります。これはブルックの執務室です。
管理本部棟からゲート方向を眺めたものです。左の警備室手前に見えるのはレーダー。
元空軍基地であったため、レーダーが残されていました。今はインペリアルのロゴが入っています。