また話が少し前後しますが、不正だらけのマザールとPWCを管理人・清算人の立場から排除し、新しい管理人・清算人による公明正大な管理・清算を望む債権者達は、マザールとPWCの排除運動に乗り出しました。世界からは700名を越える債権者がこれに参加しましたが、日本の債権者組合も殆どの組合員が賛成しました。マザールやPWCの不正を具体的に調査し、またこの運動の手足となる事務局として、SAS出身のヒュー・アレンが社長を務めるマトリックス・インターナショナル社が任命され、当面の活動費用に充てるため皆様の投資金額の0.95%が送金されました。またこの運動に法律的助言を与え全体の指揮を取る者としては、ピンセンツ法律事務所が当たる事になりました。ピンセンツはイギリスでも大手に属する法律事務所です。
ところがこのピンセンツ法律事務所が、我々債権者に相談する事もなく突如として一方的に降板してしまい、さらにあろう事か皆様が送金された資金までも凍結してしまいました。これは2003年12月の事でしたが、この手ひどい裏切り行為を行ったのは、ピンセンツのロンドン事務所の上級パートナーである、デイヴィッド・バーナード・ランカスターと言う男です。今年になってようやくその一部が返されてくるようになりましたが、その間、約2年半にわたってマザールを糾弾する動きは完全にストップさせられました。一体何が起こったのか、ピンセンツが自ら語らない限り真相は闇の中ですが、自分達の当然の権利を守ろうとした投資家の正当な要求が潰され、既に不正を働いていたマザールとPWCがまたしても得をした事だけは確かです。一応ランカスター弁護士の勝手な言い分としては、投資家とマトリックスとの間に交わされた委任状は法的に不備であり、ピンセンツの名前は未許可で勝手に使われただけであり、さらにまた嘗てインペリアル・グループの一部であったマトリックスが投資家から資金を預かるのは、新たな詐欺としか思えなかったため、ピンセンツは詐欺被害が拡大する事を未然に防いだのである、と言う事になっています。
因みに「委任状が法的に不備である」と言うイチャモンを、二度と付けさせないためにフレイザーが考えたアイデアが、債権者全員を株主とし、債権回収を事業目的とする会社組織を設立する事でした。これならば債権者は株主として会社の業績(債権回収)に対して、持ち株比率に応じた当然の権利を持つ訳ですから、「委任条が法的に不備である云々」と言う問題は起きません。そもそも皆様から委任状を頂く必要がありません。これを少々変形させたものが、現在香港に設立されているクレディターズ・マネッジメント・アソシエーション社と言う旧債権回収組合の後継組織ですが、本来のアイデアに従うならば、債権者の皆様は同社から無償で株の割り当てを受け取られるべきでしょう。
話が戻りますが、即ちピンセンツは純粋に善意の第三者の立場として、新たな詐欺を防止するために資金を凍結したのだと言うのです。笑わせてはいけません。実はピンセンツで本件を直接担当していた人達(マンチェスター事務所所属のパートナー達)は、マザールを排除するのは彼等が立案した方法で上手く行くであろう事、その運動の全体的指揮は彼等が執ると言う事を、フレイザーや福地さん達の前で言明しているのです。即ちこの計画はピンセンツの承認なしに勝手に名前を使って行われたものどころか、寧ろピンセンツが計画の全体を立案して、具体的な細部をマトリックスが担当する事になっていたものでした。ランカスターはマーチャントに脅されるか何かしたため、何とかしてこの面倒な事案を打っちゃろうとしたのでしょうが、残念ながら彼が知らなかった事は上記の会談(ピンセンツが計画の全体的指揮を執る云々)を録音したテープが私の手元に残っている事です。これは極めて重要な証拠ですから、その内容をここで開示する事はできません。しかし一旦このテープが法廷に持ち出されたら、ランカスターはもう責任逃れをする事はできないでしょう。依頼人の信頼を裏切って敵に通じ、依頼人に損害を与えるなど、弁護士としてあるまじき不道徳且つ脱法的行為であり、弁護士協会の綱紀委員会で処罰してもらう必要があります。
ここのところの経緯を、インペリアル側にもマザール側にも与していない、純然たる投資家の立場から解説してもらうため、嘗て債権者組合の初代委員長をやって頂いた福地さんの手紙を添付します。この手紙のオリジナルは英文で書かれており、固有名詞に幾つかの明らかな誤解(うっかりミス)がありますが、福地さんがピンセンツに抗議として出されたものです。(私の翻訳では、それらは明らかなうっかりミスであるため、文意に沿って適宜訂正されています。実はこの手紙を公開に当たって、福地さんから許可は頂いていないのですが、事の重要性に鑑みお許しを得られるものと思っています。これをお読みになれば、ピンセンツのある上級パートナーが、悪徳ジャーナリストのマーチャントに弱みを握られたか脅かされたかしたが、妙な噂を立てられるなど面倒になる事を嫌ったため、手っ取り早い解決方法としてマーチャントの言う事に従い、我々債権者と縁を切る方を選択しそれを下の者に押しつけた、と言う構造が見て取れます。また我々には何の連絡さえ寄越さないくせに、敵であるマーチャントには早々と、我々の闘争資金を凍結した事を伝えているのです。弁護士の信義も地に落ちたものです。またこの裏切りについては債権保全回収組合の伊藤理事長も、書面で厳重な抗議を申し入れておられますが、残念な事にピンセンツからの返事はありませんでした。伊藤理事長の手紙も元は当然英文で書かれていますが、私が翻訳しましたのでご覧下さい。
とにかくピンセンツが債権者に対して何の通告もなく一方的に降板してしまい、またその後の責任を回避するためか不当に介入してきた所為で、債権回収活動は資金的に暗礁に乗り上げ、本来の活動目的からすると2年半の遅れが生じた訳です。実は凍結された資金を早期に解除するため、ランカスターからある条件が出されていたのですが、当時のトップの判断でそれを蹴ったために相手が態度を硬化させ、その結果資金凍結が長期化したと言う事情がありました。この間も伊藤理事長を始めとして何人かの特定の理事の方々は、何とか組合を維持し最終的な目的を達成するため、完全に手弁当でご苦労をされてきました。私に信頼を寄せ続けて頂いた事と併せ、本当に心からお礼を申し上げる次第です。