多数の投資家がインペリアルに対して持っていた債権を、PI社に譲渡されました。それに対してマザールは、PI社への債権譲渡は無効であり認めないと言いました。それはそうでしょう。何故ならもしPI社への債権譲渡を有効なものとして認めてしまうと、PI社がインペリアルに対する単独最大の債権者となり、マザールの清算方法に介入できるようになるからです。マザールは、フレイザーやブルックとの最初の合意を反故にして、投資家の利益保護どころか、無茶苦茶な債権放棄(鉱山関係の債権の放棄に係る実際の構造はフレイザーの説明にあります)や投売りをやっていたのですから、ここでPI社、即ち実質的にはフレイザーとブルックに最大の債権者として登場されたら、せっかく投資家の目をくらませて作ったインチキ計画が大幅に狂い、不正が全部明るみに出てしまう事になります。ですからマザールの立場からすれば、債権譲渡など絶対に認める訳には行かなかったのです。債権者はまとまりのないバラバラの状態で、発言権を持たないようにしておきたかったのです。しかし一方でマザールは随分矛盾した事も言っています。つまり一旦皆様がPI社に譲渡された債権は、インペリアルに対する請求権を勝手に放棄したものと看做し、最早救済の対象とは認めないとも言っているのです。これは譲渡が有効である事を前提にしなければ、成立する筈のない理屈です。初めは譲渡行為そのものが無効であると言ってみたり、次に自分に都合が良いとなれば、譲渡があったため債権は放棄されたものとすると言ってみたり、全く矛盾だらけですが元々が無茶苦茶な人達ですから驚くには当りません。
それよりも問題は次の事です。皆様は、インペリアルに対して持っていた債権をPI社に譲渡されましたが、その後PI社までもが清算人達によって潰されてしまった結果、皆様の請求権は誰に対しても消滅してしまった、と思ってはおられるのではないでしょうか。即ち、インペリアルに対して持っていた債権をPI社に譲渡したが、債務者(PI社)が再び消滅してしまった以上、自分達の債権は完全に雲散霧消してしまった、とお考えではありませんか。もしそう思っておられるならば、それは全く事実ではありません。実はPI社は潰される直前、正確には2003年12月8日、皆様から譲渡されたインペリアルに対する債権を、完全に無条件でそっくりそのまま皆様にお返ししているのです。これがその時にPI社から出された声明のオリジナルとその翻訳です。ご覧になってお分かりのように、この手紙は債権回収組合の理事会宛に出されています。(具体的にはブルックからの依頼により、私がイギリスからメールに添付の形で、日本に送付しました。)つまり理事会は、PIに債権譲渡をされた各投資家の皆様にこの手紙を即座に転送し、インペリアルに対する債権が回復されている事実をお知らせしなければならなかったのですが、どこかで何かの手違いがあったようで、どうやらこの事実が皆様に知られていないないらしい事に、私は最近気が付きました。皆様のインペリアルに対する請求権が、既に回復されていると言う事が分かっていたならば、一旦は頓挫しかかった債権回収運動も、もっと早くに再活性化されていたかも知れません。この手紙でフレイザーとブルックがはっきり述べているように、皆様がPI社に一旦譲渡された債権は、既に元の形のままそっくり皆様に返還されているのです。ですから皆様のインペリアルに対する債権は回復されており、従って皆様は債権譲渡以前と全く変る事なく、インペリアルの管理人・清算人であるマザールに対し、正当な請求権をお持ちなのです。マザールは何とかして皆様の請求権を、既に無効であるとし、無視しようとしていますが、絶対に騙されないで下さい。
このPI社への債権譲渡と言うプログラムは、マザールが好き放題の事をしてしまわないうちに、全てを迅速に進める必要があったためでしょうが、確かに十分な説明も行われないままドタバタと進められた感がありました。その所為でマザールに「これは新手の詐欺である」などと、言い掛かりを付けさせる隙を与えてしまいました。残念な事にこのスキームは結局、皆様のお役に立てるようには機能しませんでした。この方法は旨く行くと思っていた私に取っても、まことに忸怩たる思いです。しかしちょっと冷静に考えてみて下さい。前にも指摘しましたが、皆様がインペリアルからPI社に債権を譲渡された時に、PI社は一銭でも要求しましたか。書き換えの事務手数料すら頂かなかった筈です。投資家からは一銭も金銭を頂かない状態、つまりフレイザーやブルックには一銭も入らない状態で、何をどうひねくったらこれが詐欺に見えるのでしょうか。ライアンやウッドと言うのは本当に不思議な理屈をこねる人達です。マザールはここでもまた嘘を言っていた訳ですが、投資家の皆様がPI社のファンドに乗り換えようと乗り換えなかろうと、フレイザーやブルックにとって金銭的には一銭の得にもならなかった事は、今説明したとおりです。では何故彼らはそれほど一生懸命になって、これを推進しようとしたのでしょうか。